深蒸茶の普及とともに急須に対する関心が高くなりました。
深蒸茶の製法は、どうしても茶葉が細かくなり茶濾しの目詰まりが生じるためにそれに対応する急須が必要になりました。
これらの問題に対応したのが常滑焼と万古焼の急須です。
常滑焼の急須は、四日市の万古焼の急須の影響を受けながら戦後急速に発展して機能性と生産性を向上させ、使いやすく安価な急須を生産してきました。
そして茶葉の変化とともに茶漉しの改良をすすめ、使い易くまたお茶を美味しく抽出する急須として、茶専門店を中心に普及して現在に至っています。
現在技術移転が進み中国製の朱泥急須の生産量が多くなっており、滑焼朱泥のルーツと言われている中国、江蘇省宜興市(ぎこう)で作られています。

�b器　　磁器、陶器

　急須は基本的には焼物ですがガラス製、プラスチック、鉄、銅、木製もあります。
ここでは、焼物の急須の話をします。
日本の焼物の名前と分類について簡単に説明します。
焼物は、大きく分けて磁器、陶器に分類されてきました。
磁器とは、原料が陶石で生地が透き通る透光性があり、吸水性が無く水を通さないもの、その他陶石が温度に強いため比較的高温で焼成され表面がガラス状のものです。
陶器とは、原料が粘土で吸水性があるので水を通さないように釉薬(うわぐすり)をかけるものです。
焼成温度は、原料の粘土や釉薬に温度をあわせますので磁器より低くなります。これが一般的な解説です。
近年磁器と陶器の間に�b器(せっき)と言う分類が加えられました。
常滑焼、万古焼、備前焼等の陶器がその分類に入ります。原料は粘土ですが、よく焼締められているので吸水性が無く釉薬を掛けないものと規定されています。
粘土を焼成すると多くの孔(あな)が表面にできます。陶器の場合釉薬をかけるので孔はふさがります。
磁器は表面がガラス状になるので孔はありません。
原料の粘土が細かく密度も高く又よく焼き締まり吸水性のない�b器は、孔が細かく多孔性で均等になります。
その孔の中には空気が入っています。
その空気が湯の中に解けてお茶をおいしくするといわれています。
古来焼締の無釉の茶器はお茶を美味しくすると言われ、中国の宜興の茶壺、万古焼、常滑焼の急須が代表的なものとしてあげられます。

　　　急須の機能

　日本では急須は横手が基本ですが、中国や欧米では後手のものを使っています。横手は手首の捻りが少なくてすむので非常に合理的です。
ただ製法面では多くの技術を必要とします。さらに角度、長さ、太さ等々のバランス感覚は熟練を必要とします。
また茶葉の形状の変化に対応して茶漉し網も進化してきました。
これらのことは海外の茶器では見られない日本特有なことです。
急須の形状、造り、茶漉し等の機能性の工夫から静かで湯もこぼさない綺麗な環境が作られています。
日本人の清潔感ともマッチしています。
常滑焼等の急須のバランス、茶漉し機能、ツマミの持ちやすさ、蓋の密着性のよさや湯切れのよさは高い評価を受けています。(下の写真は色々な茶注)

急須の手入れのお客様へのアドバイス

　　汚れと目詰まり

　常滑の急須は使い込むとツヤが出ますが、油分の汚れと混同されている場合があります。
ツヤは洗剤で洗っても落ちません。
表面が黒っぽくなったら食器用洗剤で洗ってくださいきれいなツヤが残ります。目詰まりには日ごろの手入れが必要です。
お使いの後必ず水洗いして茶殻や茶カスを取ってください。
口の部分から勢い良く水を流せばより効果的です。
茶漉しがに洗ってください。
使い始めですが、陶器の場合ぬるま湯等に浸して、孔に水分を含ませておくと汚れが入らずきれいに使えます。